ヴィンヤードのあれこれ

新しいメンバーも加わってきましたので、横濱ヴィンヤードについてお伝えします。 

 

はじまり

旭区今宿西町にある広さ4000平米の農地です。ご近所の土地の所有者がお住まいです。所有者のご家族が私が出演したラジオ番組を聴いて連絡をくれたことがこの場所の始まりです。耕作放棄地となり荒地となっていた場所がブドウ園なったら素敵です、というお話でした。農地の貸借には横浜市が間に入ります。やりとりをして1年。この場所に横濱ヴィンヤードが誕生しました。

ブドウの種類

とても贅沢な植栽方法です。といいますのは、苗間は通常よりも広めにとり、風通しをよくし、夏の湿気を逃すようにしています。遺伝子がわかっているシャルドネ、ピノノワールを450本を直接苗木商から仕入れています。ワイン用のブドウは元来海外からもたらされた品種で外来種になります。最近、「外来種」「遺伝子組換」という言葉をよく聞きますが、環境配慮のためにできることと思い、ルーツを把握しています。苗には位置情報と遺伝子/台木(ウィルス侵入を防ぐため台木に苗を接木しています)のシールを付けています。例えば「CH277/101-14」は、CH(シャルドネ)277(遺伝子種類)101-14(台木種類)です。

 

畑の方針

環境配慮の畑です。無農薬・無除草剤使用です。肥料も有機肥料を使用しています。これが意味するのは、植栽が豊かであり生物の生命力が高い、ということは下草の生命力が強いのです。必然的に草刈が課題になります。

いろいろな考え方がありますが、最終的に私たちの体に入るものには化学的なものを使いたくないという願いが根底にあります。生物は切磋琢磨しながらその多様性の中で生きていきます。それぞれの個性を見極めながら丁寧に対応することで、甘いブドウを育てるというのが目標です。

草刈り

桜の花が咲く頃に、いっきに下草たちが芽吹き、茶色の畑が一面緑に変わります。さー、ここからが闘いです。ただ、伸びてくる草たちを片っ端から刈るのではダメなんです。それは私たちの勝手で、その草たちを利用して生物が息づき、微妙な均衡を作り上げています。私も全てを把握しているわけではなく、毎年、毎季節変化する植生や生物たちの存在を気にしながら草を刈っています。

今の季節の草刈りのポイント

各苗周りの様子は異なります。植生が微妙に異なります。
クローバーはこの2年間みなさんでタネを撒いてやっと定着してきました。グランドカバーになり、積極的に広めています。クローバーが最初に地面を覆うと、他の背が高く伸びる草が抑えられます。また、在来種の三つ葉、カタバミがクローバーと競い合っています。これも大切なグランドカバーの植物です。



◯は残したい Xは残したくない とはいったんしますが、の植物は増えすぎは禁物です。苗の芽が隠れてしまうほどは伸びすぎなので刈ります。苗の足元が程よく覆われ、アブラムシなどのブドウ芽を食べてしまう昆虫を捕食する昆虫が生活できる世界は温存します。

今年最初に顔を出したのはイヌフグリ。青い小さな花で地面に這って生息域を拡大します。害はないので積極的には刈りません。

次に顔を出したのはホトケノザ、そしてヒメオドリコソウ、ツクシとスギナ(ツクシはスギナの胞子茎)。程よいのであればいいのですが、谷側エリアは過密で湿度が高くなっているため、程よく刈っています。

  
ホトケノザ            ヒメオドリコソウ
 

 ツクシ              スギナ

昨年猛威をふるったのがかカラスノエンドウ。今年はまだ控えめです。根に共生している根粒菌が空気中の窒素を取り込み栄養素として土に返すので、畑にはプラスの植物です。かわいい花を咲かせ、5月を過ぎるとパッタリと枯れていきますが、膝丈までのびツルが絡むので厄介です。程よく刈っています。

 

X名前はわからないのですが、根強く増えている草です。こちらは迷いなく刈ります。

 

 

ハルジオン(ハルジオンは蕾が下がっている)とヒメジョオンもちらほら。蝶たちが花の蜜を吸いに来るので残しておきたいのですが、背丈が大きくなりますので、ある程度は刈ります。

現時点ではここまでです。これからも季節が変わるにつれ植生は変化していきますので、随時新たな対応が必要です。

最後に、草の間に見られる頼もしい生き物たちです。アブラムシを食べてくれます。

 
ナミテントウ           ナナホシテントウ
てんとう虫の幼虫。これからの時期、ブドウの新芽によく見られます。
どうぞ、お時間のある時に、この生物の営みを大切に育てるヴィンヤードへ足をお運びください。
ブログに戻る